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大阪地方裁判所 昭和53年(わ)639号 判決

被告法人

本店所在地

大阪市西区江戸堀一丁目一六番三一号

商号

栄商事株式会社

(代表者 代表取締役 落岩義夫)

被告人

本籍

大阪市東住吉区西今川町六丁目一一九番地

住居

右同所

会社役員

落岩義夫

明治四三年七月一三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告法人栄商事株式会社を罰金六〇〇万円に、

被告人落岩義夫を懲役六月に、それぞれ処する。

被告人落岩義夫に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人栄商事株式会社は大阪市西区江戸堀一丁目一六番三一号に本店を置き繊維原料及びその製品の売買・仲立等を目的とする株式会社であり、被告人落岩義夫は同会社の代表取締役(昭和五一年二月三日以前は専務取締役)として同会社の業務を掌理しているものであるが、被告人落岩は、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入と架空売上を計上したうえ、その差損を除外して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、梅本運一と共謀のうえ、昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が六七、二三六、四一二円で、これに対する正規の法人税額が二五、八一四、三〇〇円であつたのにかかわらず、昭和五〇年二月二七日、大阪市西区川口二丁目七番九号所在所轄西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二一、六〇三、四五四円で、これに対する法人税額が七、五七一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一八、二四三、一〇〇円を免れ、

第二、梅本運一と共謀のうえ、昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が五一、六五八、〇五九円で、これに対する正規の法人税額が一九、三三〇、九〇〇円であつたのにかかわらず、昭和五一年二月二〇日、前記西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二六、四六二、八七三円で、これに対する法人税額が九、二五四、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、〇七六、二〇〇円を免れ、

第三、昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が三〇、六九四、四三三円で、これに対する正規の法人税額が一〇、九二四、二〇〇円であつたのにもかかわらず、昭和五二年二月二八日、前記西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損三、六八二、五六五円で、納付すべき法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、九二四、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告法人代表者兼被告人落岩義夫の当公判廷における供述、検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、川畑一夫、羽根誠、落岩吉郎、小森康有の検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、田中千珠子の検察官に対する供述調書

一、池田正治、小林重男、辻村新、宮沢忠治、梅本尚、中司芳夫、角谷好信、後藤貴一、味村孝の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、川畑一夫、市川泰治、森本博美、石川寿、羽根誠、富士芳明、大西勝、角谷好信、夏目義彦、小林武、神山健、室谷茂作成の各確認書

一、被告法人の登記簿謄本、定款写

一、大蔵事務官作成の調査書

一、各法人税確定申告書写

一、各脱税額計算書

(法令の適用)

被告法人栄商事株式会社につき

各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項、刑法四五条前段、四八条二項

被告人落岩義夫につき

各法人税法一五九条一項、二項(判示第一、第二の各所為については、なお刑法六〇条)、いずれも懲役刑選択、

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罰の刑に法定の加重)、二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

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